1. なぜ、SEOへの投資は「資産」になるのか?広告との違い「オウンドメディアの記事を増やしても、本当に売上につながるのか?」多くの経営者が、Webマーケティングに対してまずこのような疑問をお持ちです。加えて、SEO(検索エンジン最適化)と聞くと、「よく分からない専門的な作業に高額な費用がかかる」といった印象を持つ方も少なくないでしょう。リスティング広告であれば、かけた費用に対して、どれくらいの問い合わせがあったかという成果が明確です。しかし、SEOは効果が出るまでに時間がかかり、何がどう成果に繋がっているのかが見えにくい。そのため、不透明な投資先に二の足を踏んでしまうのも無理はありませんしかし、もしSEOへの投資を、広告と同じ「費用(コスト)」として捉えているとしたら、その認識を少しだけ変える必要があります。広告が、効果がその時限りの「フロー型の投資」であるのに対し、SEOは、一度上位表示されれば追加の広告費をかけずに継続的に集客できる、優良な「ストック型の資産」に他なりません。年々高騰し続ける広告費への依存から脱却し、持続的な事業成長を目指す上で、この「資産」を築くという視点は、経営者にとって不可欠なものとなっています。この記事では、SEOの専門的なテクニックには深入りしません。その代わりに、経営者として知っておくべき「SEOの基本的な考え方」と、「どこに、どのように投資すれば、成果に繋がるのか」という費用対効果の考え方について、分かりやすく解説していきます。2. SEOの成果は、いつ、どのように現れるのか?SEOへの投資を判断する上で、経営者が最も知りたいのは「いつ、どのような形で成果が表れるのか」という点でしょう。広告と違い、SEOの成果はすぐには現れません。一般的には6ヶ月〜1年程度を目安に考えていただくのが現実的です。しかし、ただ待つわけではありません。成果が現れるプロセスは、大きく分けて3つのフェーズに分かれます。経営者は、この「成果の現れ方」の順番を理解し、各フェーズで適切な指標を追いかけることで、判断できます。① フェーズ1:検索順位の安定(3ヶ月〜6ヶ月目)・何が起こるか: 記事を公開してから数ヶ月経つと、Googleにサイトが正しく認識され、狙ったキーワードでの検索順位が少しずつ安定してきます。まだ問い合わせなどは発生しませんが、投資が正しく機能しているかどうかを確認する初期サインです。・見るべき指標: Google Search Consoleで確認できる「平均検索順位」や「表示回数」。② フェーズ2:アクセス数の増加(6ヶ月〜1年目)・何が起こるか: 上位表示される記事が増えることで、検索結果からのクリックが増え、Webサイトへのアクセス数が着実に増加し始めます。ここで初めて、経営層が数字として報告を受けやすい“流入の増加”が可視化されます。・見るべき指標: Google Analyticsで確認できる「自然検索からの流入数(セッション数)」や「各記事のPV数」。③ フェーズ3:事業への貢献(1年目以降)・何が起こるか: 集まったアクセスが、徐々に「問い合わせ」や「資料ダウンロード」といったビジネス上の成果(CV:コンバージョン)に繋がり始めます。オウンドメディアが、追加の広告費をかけずに継続的な見込み客を獲得できる「資産」として機能し始めるフェーズです。・見るべき指標: 「問い合わせ件数」「ホワイトペーパーのダウンロード数」「商談化率」など。このように、SEOの成果は段階的に現れます。すぐに売上(フェーズ3)に繋がらないからといって、フェーズ1の段階で「効果がない」と判断してしまうのが、最もよくある失敗パターンです。それは、それまで投下した時間とコストが、全て無駄になることを意味します。3. 担当者に任せきりにしないための、最低限のチェックポイントSEOの具体的な実務は、担当者や外部パートナーに任せるのが経営者としての正しい判断です。しかし、「任せる」ことと「丸投げ」は全く違います。すべてを細かく理解する必要はありませんが、これから紹介する3つのポイントを押さえるだけで、施策の本質を見誤るリスクを大きく減らせます。事業の成功に責任を持つ経営者として、施策が正しく進んでいるかを確認するために、担当者への月次報告などで、特に重要な3つの質問を投げかけてみてください。① チェックポイント1:「この記事は、誰の、どんな悩みに答えるものか?」・なぜこの質問が重要か? SEOの本質は、読者(=潜在顧客)の悩みを解決することにあります。この問いは、チームが単に検索ボリュームの大きいキーワードを追いかけるのではなく、事業戦略に沿った、質の高い顧客にアプローチできているかを確認するためのものです。・良い答えの例: 「この記事は、〇〇という課題を持つ中小企業の経営者に向けて、△△という解決策を提示するものです。この層は当社の主要顧客であり、彼らの課題解決は将来の受注に繋がります。」・悪い答えの例: 「『オウンドメディア』というキーワードの検索数が多いからです。具体的な読者像はまだ決まっていません。」 ② チェックポイント2:「この記事は、競合の『上位10記事』と比べて、何が優れているのか?」・なぜこの質問が重要か? 検索結果で上位表示されるためには、すでに上位にいる競合の記事よりも、読者にとって価値の高い、優れた記事を作る必要があります。この問いは、チームが現状維持ではなく、常にNo.1を目指す意識を持っているかを確認します。・良い答えの例: 「競合の記事は一般的な機能紹介だけですが、この記事には弊社独自の成功事例とすぐに使えるチェックリストを追加しています。この独自性が、読者の信頼を獲得し、最終的に問い合わせ時の第一想起に繋がると考えています。」・悪い答えの例: 「分かりやすく書いたつもりです。」③ チェックポイント3:「この記事の『成果』を、どの指標で、いつ判断するのか?」・なぜこの質問が重要か? 第2章で解説した通り、SEOの成果は段階的に現れます。この問いは、チームが適切なKPIと時間軸で成果をトラッキングしているか、そして最終的な事業貢献への道筋を描けているかを確認するためのものです。・良い答えの例: 「業界や競合状況にもよりますが、まずは3ヶ月で検索順位トップ10入りを目指します。その後、半年後にはこの記事から月5件の問い合わせ獲得を目標とし、その後の商談化率も計測します。」・悪い答えの例: 「とりあえずPVが増えればいいと思っています。」4. SEOの内製化と外注の、メリット・デメリットSEO施策を進めるにあたり、経営者が次に直面するのは「誰が、それを実行するのか」というリソースの問題です。具体的には、「自社で専門人材を育成する(内製化)」べきか、「外部のプロフェッショナルに任せる(外注)」べきか、という選択です。どちらが良いかは企業のフェーズや目的によって異なります。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、自社にとって最適な判断を下すための材料を提示します。① SEOを内製化するメリット・デメリット・メリット: ⚪︎事業理解の深さ: 社内の担当者は、自社の製品や顧客、企業文化を深く理解しているため、より熱量の高い、本質的なコンテンツを作成できます。 ⚪︎迅速な意思決定: 社内で完結するため、外部パートナーとの調整が必要なく、スピーディーに施策を実行できます。 ⚪︎ノウハウの蓄積: 成功も失敗も含め、SEOに関する知見が社内に「資産」として蓄積され、将来の事業展開に活かせます。・デメリット: ⚪︎人材採用・育成の難しさ: 専門性の高いSEO人材の採用は非常に難しく、未経験者を育成するには時間とコストがかかります。 ⚪︎スケールの限界: 社内リソースだけでは、大量のコンテンツを短期間で制作したり、大規模なサイト改善を行ったりするのが難しい場合があります。 ⚪︎知見の属人化リスク: 特定のエース社員に依存すると、その担当者が異動・退職した際に、ノウハウが失われ、メディアが停滞するリスクがあります。② SEOを外部パートナーに委託(外注)するメリット・デメリット・メリット: ⚪︎高い専門性と最新ノウハウ: 外部の専門家は、常に最新のSEOトレンドを把握しており、その知見をすぐに自社の施策に反映できます。 ⚪︎客観的な視点: 社内の常識や思い込みに囚われない、客観的で冷静な視点から、事業の課題や改善点を指摘してもらえます。 ⚪︎即戦力リソースの確保: 人材を採用・育成する時間やコストをかけずに、すぐに専門家チームのリソースを活用できます。・デメリット: ⚪︎費用: 当然ながら専門家への依頼には費用が発生します。しかし、広告費と比較した費用対効果で考えることが重要です。例えば毎月100万円の広告費をかけているなら、その一部を「資産」となるSEOに振り分ける、という判断も可能です。 ⚪︎事業理解への時間: 外部パートナーが、自社の複雑なビジネスモデルや顧客の特性を深く理解するまでには、一定の時間が必要です。 ⚪︎ブラックボックス化リスク: パートナーによっては、施策の具体的な内容が不透明で、どのような作業が行われているかが見えにくく、社内にノウハウが残らないケースもあります。 ③ 結論:多くの企業にとっての最適解は「ハイブリッド型」内製化と外注は、二者択一で考える必要はありません。むしろ、多くの成功企業は「内製」と「外部委託」を組み合わせたハイブリッド型で、両方のメリットを享受しています。例えば、戦略設計や編集といった「メディアの頭脳」となる部分は内製化しつつ、専門性の高いコンテンツの「執筆」や「SEOの技術的な分析」といった部分は外部パートナーに部分委託する、という形です。自社の現状のリソースと、オウンドメディアで達成したい目標を天秤にかけ、最適なバランスを見つけることが重要です。【おわりに】この記事では、経営者として知っておくべきSEOの基本的な考え方から、成果が現れるまでの期間、担当者に任せきりにしないためのチェックポイント、そして内製化と外注のメリット・デメリットまでを解説してきました。SEOは、広告のようにすぐに成果が出るものではありません。しかし、一度軌道に乗れば、追加の広告費をかけずに継続的に見込み客を呼び込み、事業を成長させてくれる強力な「資産」となります。重要なのは、経営者自身が専門家になることではなく、施策が正しい方向に進んでいるかを見極めるための「判断軸」を持つことです。この記事で解説したチェックポイントや、内製・外注の考え方が、あなたの会社にとって最適な意思決定を下すための一助となれば幸いです。私たちGOOD RIGHTは、過去の数々の失敗経験から生まれた「実行伴走型」の支援を得意としています。もし「計画について客観的な意見が欲しい」「SEOの戦略を、事業の根幹から一緒に考えてほしい」と感じたら、まずは無料の壁打ち相談へお気軽にお声がけください。